靴磨きについて語る~中級者による失敗とコツの経験談~

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普段仕事でもプライベートでも、頻繁に革靴を履く方で、自分で自分の靴を磨いたことのある方は一体どれくらいの割合いるだろうか。私の予想では、3割くらいなのではないかと思う。今や革靴も消耗品。高い靴を買って日々メンテナンスをしながら長く履く時代ではなく、比較的安価なものを1年かそこらで履き潰して、ボロくなったらまた新しい安価な靴を買う、そういう時代だ。

こういう時代の傾向的な話に関しては、僕はぶっちゃけどうでもいい、という感想しか持たない。時代の傾向なんて興味ないからだ。僕には僕の哲学があるし、それがハマる時代だろうがハマらない時代だろうが、僕が僕のやり方を崩すことはない。

僕が革靴を買うとき、譲れない条件が三つある。

①カーフレザー(生後6ヶ月以内の子牛の革)であること。

②製法がグッドイヤーウォルト、もしくはマッケイ製法(簡単に言えば、甲革とソール(底)を接着剤でくっつけるのではなく、糸で縫ってくっつける製法)であること。

③形が内羽根のストレートチップ(爪先に横一文字の縫い目があるタイプ)であること。

このうち②と③は靴磨きにはあまり関係ない要素だが、①は靴磨きに関してかなり重要だと思っている。革のキメが細かいほどワックスを塗りやすいからだ。まあ言葉で理屈を話しても仕方ないからこのくらいにして、実際に靴磨きをやってみよう。

まず用意するものは、靴とワックスと磨き用の布だ。磨き用の布に関しては、僕はこれまでTシャツとかスラックスの切れ端などいろいろ試したが、ネル生地が一番綺麗に磨けるからここに投資するのがおすすめだ。

ワックスはBoot Blackのミディアムブラウンだ。ワックスは他にちょっとお高いサフィールを使ったことがあるが、Boot Blackでも全然綺麗になるから、正直そこまでこだわる必要はない。だから純粋に自分の好きなブランドでいいと思う。

さて、まずは靴の汚れを落として全体にシュークリームを塗布してブラシで磨いた状態にする。靴磨き以前のお手入れはまたそのうち気が向いたら投稿する。今回は、既に鏡面磨きからスタートできる状態にした。

まずは指で直接靴の爪先にワックスを塗っていく。コツは、少量を何回も塗り重ねることだ。だから重ねるまでは全然塗った感じがでないが、4、5回重ねると、向かって右の靴のように表面が曇ってくる。僕の場合、とりあえず曇るまで塗り続ける。

ある程度曇ってきたら、今度は指で強く撫でるように素早く擦る。大事なのは、何層にも重なったワックスの表面を平たくするイメージだ。層の厚さが均一かつ平らになっていないと、磨いたときにめっちゃ光るところと曇ったままの部分ができてムラになる。しんどい作業だが、ここが一番気合いのいれどころだ。

均一になってくると、今度は曇りがなくなってだんだんテカテカしはじめてくる。ここまできたら、水戸黄門で言えば敵を半殺し状態、助さん、格さん、もうよかろう、の声が聞こえてくるころだ。いよいよ鏡面磨きに入る。

とその前に、僕の経験上靴磨きにおいてもっとも大事なポイントをあげておこう。それは、ワックスをしっかり乾かすことだ

しっかりと言っても10分くらい放置しておけば十分だが、ワックスに含まれている水分をしっかり飛ばさずにすぐに磨きに入ると、せっかく作った下地の層が布で全部剥ぎ取られてしまったような感じになり、やらかした感で絶望するから、軽く擦ってカピカピになったっぽかったら、鏡面磨きに入ろう。

鏡面磨きの手順は、まずネル生地を人差し指と中指にきつく巻き付ける。指の腹の部分がピンと張ったら、少し水で湿らせる。湿らせ具合も大事だ。濡れているレベルではダメだし、乾いていても意味がない。生乾きレベルを目指そう。生乾きレベルで湿らせられたら、後は少量ワックスをとる。茶色の場合、ケツを拭ったトイレットペーパーみたいな感じになれば、準備完了だ。

鏡面磨きの磨き方は、下地と混ぜるように少し強めに、細かい円を描くイメージで擦っていく。鱗状の後が残ればうまくできている証拠だ。これを何度か繰り返し、全体が鏡のような光沢を帯び、表面がツルツルになっている感覚を指で感じられたら、後は全体を軽く上下に擦って完成だ。

30分くらいかけて磨き上げ、少しへたれている靴でも新品のように蘇る快感は名状しがたいものだ。これは味わったことのある人間にしかわからない。

そして明日から綺麗になったこの品格漂う靴を足元に纏い、一気に仕事できる感がましてルンルン気分で出勤できるようになる。すれ違う人間にはすべからく、俺の足元を見よと言いたくなる。

こうして一日仕事を終え、気がつくと今朝は一転の曇りもないピカピカだった爪先は、既に傷だらけになっていることに気がつくだろう。

朝の自信に満ち溢れた清々しい気分はどこへやら、帰りの電車の中では果てしなくやる気を喪失するのだ。そしてこれに慣れてくると、ついに開きなおって靴を磨かくなり、大衆迎合への道に舞い戻るのだ。

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