刀を眺めながらただ日本酒を飲むというだけの記事

趣味

どうもちせいです。

突然ですが、これがなんだかお分かりだろうか。 

そう、日本刀である。が、僕に言わせれば、これはただの日本刀というだけでは足りない。日本刀と言えど、長さや形状によってその呼称が細かく分類されているからだ。

いま僕の目の前にあるのは、上が太刀と呼ばれるもので、下が脇差と呼ばれるものだ。もちろん、この二振りの刀は本物の刀ではない。刀身が合金でできたいわゆる模造刀だ。だが、僕はこれらのおもちゃの刀でも一生眺めていられるくらい、飾り物としてかなり気に入っている。

特に、上の太刀の方は、これを眺めるだけで酒が飲める。

今回は、僕がただこの刀を眺めながら日本酒を飲むという割とくだらない日常を紹介しよう。

日本刀には、長さが短いものから長いものまでいろいろあるが、めちゃくちゃ簡単に言えば、だいたい刃長が30センチくらいのものを短刀、刃長がだいたい30センチ以上60センチ未満のものを脇差、そしてそれより長いものを打刀あるいは太刀という。

脇差よりも長い刀を打刀、あるいは太刀と呼ぶといったが、打刀と太刀は同義ではない。打刀というのは、刀身の反りが浅く、対して太刀の方は反りが大きい。これは、打刀を拵える時は、刃が上向きになる形で、鞘を帯に差すのに対して、太刀は、刃を下向きにして、太刀緒(佩緒)という紐を腰に巻き付けて固定する。だから、太刀の鞘には、腰に巻き付けて太刀を固定するための金具や革や紐がついている。だから太刀は、打刀に比べると見た目が物々しく、装飾的だ。そして、この物々しさこそ、僕が酒を飲みながら一生眺めていられるポイントなのだ。

僕は昔っから刀を眺めるのが好きで、学生の頃は夏休みの度に、東京国立博物館に足を運び、気のすむまで刀を眺めたものだ。刀が好きな人はもちろん、そうでない人も、博物館やお城に行って日本刀の刀身が展示されているのを見ると、その他のわけのわからない書状とか掛け軸とか陶器だったりとかとは別格に釘付けにされる、そんな経験のある方も多いだろう。それだけ、日本刀の刀身は、もとは人殺しの武器であるにも関わらず、それでいてまるで美術品のように美しいのだ。だから実際、戦国の時代がはるか昔に終わりをつげ、日常的に人々が殺し合うような時代ではなくなった今日でも、日本刀は美術品として極めて根強い人気がある。僕も、それまで写真でしか見たことのなかった三日月宗近をはじめて東京国立博物館で目にした時には、その迫力と美しさに吸い込まれたものだ。もう七、八年前だったとは思うが、あの時は三日月宗近のブースにだけレーンが置かれていて、それを見るために人々が列をなしていた。だから一回でじっくり見る、というわけにもなかなかいかなかったから、三周くらいして目に焼き付けたのを今でもよく覚えている。

ただ、僕は刀それ自体だけが好きなわけではない。もちろん、鋼でできた煌めく刀身や、作った刀匠の個性が出る波紋の美しさは名状しがたいものがあるが、刀の入れ物、つまり鞘とか鍔とか柄という、拵えを見るのも昔から好きだった。打刀の場合は、どちらかと言えば装飾性よりも実用性を重視するため、割とシンプルでそっけないデザインの柄と鞘が多いから、唯一デザイン性の豊富な鍔を見るのが好きだったが、太刀の場合、その絢爛な拵えは、それ自体何時間見ても飽きはしなかった。なんなら、酒を飲みながらじっくり心ゆくまで鑑賞したいと思っていたものだった。

そしてそれから幾年の年月が過ぎ、僕は2025年の年末に、メルカリで太刀の模造刀を買った。中古品の模造刀というのは結構刀身に傷が入っていたり、拵えの金属部分が錆びたりくすんでいたりするものだが、そもそもアルミでできたような刀身を鑑賞するつもりはなく、むしろ拵えを鑑賞していたいのであり、しかも新品であらゆる金具かピッカピカの物だと、かえってニセモノ感が強まる。むしろ全体的に金属がその輝きを失って年期が入っている方が、本物っぽさがでて良い。

さて、刀台を机に置き、触れる距離で眺めながら日本酒を飲む。まるで今自分の部屋の中に博物館があるような気分だ、素晴らしい。そしてなんといっても、いま僕の目の前にある刀はガラスケースの中にあるのではなく、本当に触ることができる。おまけに、ありとあらゆる角度から見ることができる。こんなに日本酒が美味くなることはほかにあるまい。そして何より、この喜びを僕は毎日飽きるまで堪能することができるのだ。なんと幸せなことだろうか。

もしいつもの宅飲みに飽きた方、酒のつまみに頭を悩ませている方、日本刀を鑑賞するのは好きだけど、本物は高いし教育委員会に届出が必要だし、でもかといって模造刀は刀身が安っぽくてやだねえという方はぜひ、太刀を買うことをお勧めする。刀身を見なくても、その絢爛な装飾は、眺めているだけで時の流れを忘れさせてくれることだろう。

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